キラーストレスとは!?そのメカニズムと対処方法(コーピング・マインドフルネス)

生きている限り、様々なストレスを受けながら生活をしています。

ストレスは体に悪い、ストレスは溜めてはいけない、ストレスは解消しなければいけない、ということでストレスは良くないものだというイメージを何となく理解しており、実際に経験的にストレスを感じていますが、具体的にストレスがどのようなもので、どのように体に悪いのかといった正体はわかりません。

今回、ストレスとは何かを知るために1冊の本を読みました。

キラーストレス 心と体をどう守るか (NHK出版新書) 2016.11.10

本書名はストレスが実際に体に与える影響、例えばガンの発生を高める、うつ病の発症等々から、ストレスは人を死に追いやる可能性のあるものとして『キラーストレス』という造語が使われています。

本書はストレスが体に悪影響を発生させるメカニズム、ストレスから自分を守る方法について、 昨年、NHKにて放送された特集番組の取材内容が書籍化されたものです。

本書を読み、ストレスの怖さ、またストレス解消方法について知ることができました。

 

ストレスとはそもそも何か?

ストレスとは、ストレスを受けた時に体が反応するストレス反応のことと理解しました。
人間の祖先がまだ狩猟により生き延びていた頃は、猛獣等の様々な外敵に囲まれていました。
そうした外敵というストレスに遭遇した際には、生き残るために、闘って勝利するか、逃げ延びる必要があります。

闘い、逃走のパフォーマンスを上げるために、心拍数・血圧・血糖値を上昇させ、全身へのエネルギー源の供給を促進する等の様々な反応がストレス反応です。
このストレス反応において、体内では様々なホルモンの分泌、変化が発生します。

そして、闘いや逃走が無事に終わればストレス反応は収束し、通常時の状態に戻ります。

ただ、現代においては、猛獣等の外敵の代わりに、様々なストレス要因に直面しています。
問題はそのストレス要因への直面頻度・時間が多くなっていること、また直面していないときにも起きるストレス反応の常態化です。

ストレス反応による悪影響とは?

本書ではストレス反応が続くことによる体への悪影響について、様々な実験結果に基づき紹介されていますが、私が特に気になったのは次の2点です。

1点目はストレス反応により引き起こされる脳へのダメージ、2点目はガンに罹患するリスクの増加です。

1.ストレス反応による脳への物理的ダメージとその要因

外敵に対するストレス反応において、血圧・血糖値等を上昇させるため、アドレナリン等のホルモンが分泌されます。
このホルモンのうち、コルチゾールというホルモンが慢性的に分泌されると、神経細胞に物理的なダメージが発生します。
結果として、脳の海馬という記憶や感情に関わる重要な部分が萎縮し、その影響でうつ病へと発生することが実験から判明しているようです。

2.ストレス反応によるガンへのリスク増加

私たちの体では、細胞のコピーミスによりがん細胞が毎日発生しているようですが、免疫細胞がその増殖を食い止めるべくがん細胞を攻撃しています。

しかし、長期的・慢性的なストレス反応により発生するホルモンが増加し続けると、免疫細胞内に存在するある遺伝子のスイッチがオンの状態に変わり、免疫細胞はがん細胞を攻撃することを止めてしまうとのことです。

このように、ストレスとガン発生の因果関係が実験で認められ、ストレス反応を減少、軽減することがガンの予防にも繋がるようです。

 

ストレス反応を減少・軽減する方法とは?

やはり気になるのは、こうした悪影響を及ぼす慢性的なストレス反応をいかに減少・軽減できるかです。
ここで重要なのが、一時的なストレス反応ではなく、継続的なストレス反応が続くことにより、慢性的にコルチゾールが分泌されている状況が問題という点です。

猛獣に襲われるという極度に強く、ただ一時的なストレス環境の代わりに、現代はストレス要因が多く、絶えずストレス反応が起こってしまう状況です。
併せて、人間はストレス要因・環境に直に直面していない状況でも、高い記憶力・想像力によりストレス反応を自分自身で引き起こしてしまうので、更にストレス反応を持続させてしまうのです。

例えば仕事で上司に怒られているという直接的なストレス要因に相対していない場合も、怒られたことを思い出したり、次も怒られることを想像することがストレス反応を引き起こすこととなります。

上記のように目の前にストレス要因がなくても過去や未来のこちについてあれこれ考えて不安になっている状態のことをマインド・ワンダリング(心の迷走)と呼ぶそうです。

ストレス要因と対面している時、及び対面していない時(マインド・ワンダリング時)の両面でのストレス対応が必要となります。

マインド・ワンダリング(心の迷走)に対するマインドフルネス

心の迷走状態にあるマインド・ワンダリングを回避する方法として、最近、関連書籍等も良く目にするマインドフルネスがあります。

本書ではマインドフルネスの実践方法も書かれてますが、いわば簡易な瞑想を行います。
自分自身の呼吸、体の感覚、及び、自分の周りの温度、空気、音等に意識を向けることにより、過去のことにくよくよしたり、いらぬ不安に囚われている状態(マインド・ワンダリング)から一旦離れ、今に意識を向けることがマインドフルネスの目的です。

この間、脳の前頭前野から海馬への命令が軽減され、海馬の疲労が癒されるということのようです。
また、マインド・ワンダリングによるストレス反応が低減にも繋がります。

(参考) 実践に向けたマインドフルネス本も多くあります。

 

「コーピング」というストレス対処法とは

聞きなれない言葉ですが、コーピングというストレス対処法があります。

コーピングのやり方としては以下の流れとなります。

まず、自分がストレスを感じている時、そのストレスを軽減する気晴らしをあらかじめ準備しておきます。
本当に些細なことも含めてより多くのものを準備しておきます。
本書ではある方の具体例として100個の気晴らしが掲載されていました。
公園を散歩する、唐揚げをあてにビールを飲む、過去に行ったハワイ旅行を思い出す等々、些細なもので直ぐに実践できるものです。

そして、ストレスを感じている時に、準備した気晴らしリスト項目のどれか、また組み合わせでを実践します。
その際に、その気晴らしがどれだけ効果があったかを10点満点で採点します。

こうして状況に応じた自分のストレス軽減に効果的なものが把握できるとともに、なんとなく不安な自らのストレス状態を客観的に把握して対処することができるようになります。

私も100個ほど考えようかと思いますが、今思いつくコーピングリストは以下の感じです。
・ウクレレを1曲弾く。
・弾いた曲を録音して聴く。
・駅からの帰り道に缶ビールを買って飲んで帰る。
・1時間ほどウォーキングする。
・次のカジノ旅行について想像する。
・ハワイへ旅行に行くことを考える。
・沖縄旅行に行くことを考える。
・欲しい車のことを考える。
・日の出前に早起きして日の出中に歩く。
・コーヒーを飲む。
・ロードバイクで海を見に行く。 等々

コーピングリストを考えること自体もストレス軽減の気晴らしになっている気がします。

(参考) NHKの特番でコーピングを説明していた方(伊藤絵美)のコーピング著書

今後のストレスとの向き合い方について

ストレスが体に影響を与えメカニズムとその対処方法について、様々な実験結果をもとに本書では紹介されています。

ただストレス対処法についても、そのストレスの内容、度合いによっては限界があると思います。
ストレスとうまく付き合いつつ、やはりそのストレス要因そのものを見つめて可能な限り排除もしくは軽減することも重要かと思います。

私は自分の考えの癖として、変な完璧主義的なところ、他人の目を気にしすぎる所、あるべき論にこだわってしまうところがあるので、こうした心の持ち方も変えていき、ストレスそのものを軽減していきたいと思います。

本書はストレスについて学べるとともに、自分のストレスとの向き合い方について考えるきっかけとなりました。

ストレスの原因ともなる「イヤな気持ち」を消す技術に関する本の紹介です。

イヤな気持ちを消す技術 苫米地英人の「イヤな気持ち」を消す技術を読んで考えた。

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